東京工科大学 リメディアル教育でデザインの学びを拓く

創立125周年に向けて

リメディアル教育で
デザインの学びを拓く

東京工科大学
デザイン学部

講師 堀川 卓哉

トーリン美術予備校

学長 瀬尾 治
学長補佐 佐々木 庸浩

 東京工科大学のデザイン学部は基礎から確実に積み上げられる独自のカリキュラムを通して、各コースのデザイン分野の学びを深め、これからの社会や暮らしに向けた豊かな発想と、社会状況に合わせた新たな提案ができる専門性の高い大学として注目されてきました。

 毎年魅力を増していく東京工科大学デザイン学部は、いち早くリメディアル教育に取り組んできた学部としても知られています。早期に入学が決まった受験生(以下、入学予定者)に対しての効果的なスキルアップと学習意欲を高めるプログラムは、入学後の学修の取り組みを活性化させています。

 次年度から入学後のカリキュラムと更に密接に結びつき進化していくリメディアル教育について、堀川卓哉先生にお話を伺いました。

どのような方にデザイン学部を目指してほしいですか?

 東京工科大学デザイン学部は、手と頭を動かし考えることで鍛えられる「感性」と、コンピュータで新しい表現力を身につける「スキル」を融合させた実践的な2つの演習により、デザイン教育における先駆的役割を担ってきました。

 アドミッションポリシーにもある通り、デザインの感性と創造力・企画力の学修と研究に強い意欲を持って挑み、自己成長して自分の夢の実現をめざす人。国際的な教養と豊かな人間性、高い倫理性、創造性を育み、実社会で役立つデザインのマインドとスキルを身につけ、持続可能な社会の実現に貢献する意欲がある人を求めています。

デザイン学部・講師
堀川卓哉氏

入学後はどのようなことを学ぶのでしょうか?

  1年次では感性演習でデザインに必要な観察・表現・造形基礎を学び、学部独自の専門科目の中でどんなデザイン分野を学ぶうえでも欠かせない知識を習得します。

 2年次からは視覚・情報系と工業・空間系に分かれ、各分野に必要な基礎力をデザイン演習で身につけながら、デジタル技術を中心とした表現スキルと、社会とのつながりをテーマとした専門演習など幅広い内容を学びます。

 3年次以降は4つのコースのいずれかに絞り、各コースに特化した専門演習で実践力を付けながらグループワークを通して問題解決力を養います。多彩な分野で活躍する教員に多角的なアドバイスを受けながら、豊かな社会を実現するためのデザイン力をはぐくみます。

入試はどのように行われるのでしょうか?

 本学部では、みなさん1人ひとりの特性を活かして受験ができる様、複数の受験方法を取り入れています。いずれの方法で入学しても、デザインスキルをしっかりと身につけられる様なカリキュラムが用意されておりますので、安心して受験して下さい。

 また、総合型選抜・学校推薦型選抜などで早期に合格が決まった入学予定者に対しては、他大学に先がけて「リメディアル教育」を実施してきた実績があります。

リメディアル教育とはどのようなものですか?

 総合型選抜・学校推薦型選抜などで早期に合格が決まった入学予定者は、合格から入学までの期間が長く、空白期間が生まれてしまいます。その期間を利用して各家庭で実施できる課題を課し、これからデザイン学部で学ぶにあたって大切なデザインによる思考プロセスに触れてもらうとともに、大学でのカリキュラムにスムーズに対応できる力を身につけていただきます。それらは単に技術的なスキルアップのみを目的としているのではなく、学修に対するモチベーションの維持、向上を図ることもねらいとしています。受験生(入学予定者)は添削指導を受けステップアップしながら、3ヶ月間で課題を制作していきます。

東京工科大学デザイン学部のリメディアル教育の特徴を教えて—ください。

 先程述べた本学独自の基礎デザイン教育では、「感性演習」で習得した造形やデザインの基礎をもとに、視覚・情報系と工業・空間系のそれぞれで専門的な技術を身につける「スキル演習」や「専門演習」を融合させた基礎教育を行い、本格的なデザイン制作へと展開していきます。

 本学のリメディアル教育は、それら大学での学びにつながる準備課題として、[6種類の実技課題]と[4種類の英語課題] により構成されています。例えば実技課題では、自分でデザイン会社を起業したと想定し、その会社のシンボルマーク等を考えたり、ケント紙で作ったモデルを基にアイデア展開し、公園の遊具のデザイン提案を行うといった、実践的かつ幅広い内容のプログラムが用意されています。こうした課題に入学前に取り組む事によって、デザインの学びに対するモチベーションや学修意欲が高まるとともに、将来自分が携わるデザインの多様な世界をイメージできるのではないでしょうか。

海外とのやり取りを前提とした、英語によるデザイン課題の一例。語学力の必要性を認識させながら、デザイナーとして必要な考え方、姿勢を学んでもらう。

 また、デザインの世界においても将来的に国際舞台で活躍するための英語でのコミュニケーション能力はもはや必須のスキルです。入学後はネイティヴ・スピーカーによる英会話授業など、実践的な授業も展開されますが、リメディアル学習では「単語力」「読解力」「作文力」などの基礎を再確認する内容を重視しています。実技、英語に関わらず全ての課題文および解答用紙に至るまで英訳をつけているのも特筆すべき点です。このように実技のスキルアップと英語の基礎力を同時に身につけ、社会で活躍できる人材に成長していきます。本学部は1期生から連続して高い就職内定率を達成しています。

リメディアル学習は入学前に実施されるとの事ですが、高校生活との両立は可能なのでしょうか?

 課題は実技、英語とも2課題ずつ郵送してもらい、添削して返却します。高校での学習や課題を考慮して、基本的には2週間で1課題というペースを設定しています。1日1時間課題に取り組んだとしても、十分に期限内に完成できる分量です。実技課題は今までに経験がない方でも自力でこなせる内容となっていますが、万一の場合は、電話で直接質問できるなどきめ細やかなフォロー体制も整えていますので、安心してリメディアル学習に取り組んでいただくことができます。

入学後の授業では、デジタル技術を中心とした表現スキルと演習での実践的な課題を行う。

蒲田キャンパスで開催される卒業制作展。

入学前のリメディアル学習と入学後の授業の取り組み、とても—充実している印象を受けました。大学での学びの成果を、受験生や保護者の方が見られるイベントはありますか?

 オープンキャンパスなど様々な機会がございますが一番は卒業制作展です。学生たちの目線で捉えた社会課題に対して、4年間のデザインの学びで得た力で解決に導くデザインを探求し制作した作品を展示公開いたします。本展では、「視覚デザイン」と「工業デザイン」の各専攻(注)から、ビジュアルコミュニケーション・Web・アプリケーション・映像・プロダクト・住空間・公共空間など、多彩な領域の作品を一堂にご覧いただける機会となります。

(注) 2020年度より「視覚デザイン専攻/視覚伝達デザインコース・視覚情報デザインコース」「工業デザイン専攻/空間演出デザインコース・工業ものづくりデザインコース」の2専攻4コースの体制。2024年度入学生より専攻を無くし4コース体制で授業を展開。


東京工科大学デザイン学部 2023年度卒業制作展より


視覚デザイン専攻

視覚情報デザインコース
タイトル:「旅のまにまに」

視覚デザイン専攻

視覚伝達デザインコース

タイトル:「ふかがわ提灯」

工業デザイン専攻 

工業ものづくりデザインコース
タイトル:「Darling」

工業デザイン専攻

空間演出デザインコース

タイトル:「Asojig」