横浜美術大学 インタビュー

 

 

ビジュアル表現力×情報設計で、
次世代のクリエイターを育てる

「好き」を、未来のスキルに。

横浜美術大学に誕生する「情報デザイン専攻」は、ビジュアル表現を軸にUI/UX やウェブ、ゲームなど“ 体験をつくるデザイン” を学ぶ新しい学びの場です。
見た目だけじゃない、「伝わる」「使われる」デザインを学ぶ新しい専攻がスタートします。

横浜美術大学の4年次の専攻「情報デザイン専攻」が開設されるとお聞きしました。この専攻はどのようなものなのか教えていただけますか?

加藤弥生准教授(以下、加藤) 情報デザイン専攻は、グラフィックや映像などのビジュアル表現力を基盤に、UI/UXデザイン、ウェブ・アプリデザイン、ゲームデザイン、モーショングラフィックスなど、情報と体験を設計する分野を専門的に学ぶ専攻です。見た目の美しさだけでなく「どう伝わるか」「どう使われるか」を重視した教育を行っています。

加藤弥生准教授
従来のデザイン教育と比べて︑情報デザインならではの特徴というのは何でしょうか?

加藤 情報デザインでは、作品そのものだけでなく、ユーザーの行動や体験、社会との関係性までを含めてデザインします。表現力と同時に、情報を整理し、構造化する思考力が求められる点が大きな特徴ですね。単なる技術習得ではなく、視覚的な魅力と使いやすさの両立を追求しています。

開設に至った背景について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

加藤 近年、社会全体でデジタル化が加速していますよね。小学校から高校まで情報教育が必修化され、2024年度からは大学入学共通テストにも「情報」が加わりました。こうした変化を受けて、私たちは「情報分野を継続的に学び、表現と技術を横断できる人材」の育成が急務だと考えたんです。美術大学として、情報と表現を横断的に学べる場をつくりたいと考え、本専攻を設置しました。

横浜美術大学ならではの強みについても教えてください。

加藤 少人数制大学であるため、学生一人ひとりの理解度や関心に寄り添った指導が可能です。また、本学はもともとビジュアルコミュニケーションに強みがあり、長年培ってきたその教育を土台に、情報設計や体験設計へと発展させられる点も本学ならではの強みです。関東圏で唯一「※ウェブデザイン実務士」の資格が取れる美術大学として、実務に直結する教育を展開してきた実績もあります。

※ウェブデザイン実務士とは、インターネットに関する知識・技術とウェブページのデザインや管理運営について、全国大学実務教育協会が設定する資格です。

デザイン未経験の学生さんでも大丈夫なんでしょうか?

加藤 もちろんです。本学では1年次に全学生が基礎実技を学修したうえで2年次からコースを選択し、4年次から専攻を選択する仕組みを採用しています。入学後にしっかり基礎力を身につけながら、自分の適性や関心を見極められる環境です。「入学時点では何をやりたいか分からなかった」という学生も、1年間でさまざまな表現に触れるうちに、自然と自分の進むべき道が見えてきます。

具体的な授業内容についてもお聞きしたいのですが。

加藤 UI/UXデザインやゲームデザイン分野の専門家による講義と制作指導、企業・地域と連携した体験型ワークショップ、グループワークによるリサーチとコンセプト構築を通じて、社会と関わりながら思考し表現する情報デザインの力を育てます。

講師陣も充実されているとお聞きしました。

加藤 はい、現役のUI/UXデザイナーとして活躍されている猪鼻セカンドル貴正さんをはじめ、プレイステーション用ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズなどの開発に携わってこられた野上竜一さん、文部科学省の生成AI・プログラミング教育関連会議に参画されている利根川裕太さんなど、本当に多彩な顔ぶれが揃っています。第一線で活躍する実務家が講義を担当しているので、現場に直結した知識や考え方を学べる点は大きな魅力だと思います。

実際の仕事現場の話が聞けるのは、学生さんにとって貴重な経験ですね。

加藤  そうですね。授業の中で「今、現場で求められているスキルは何か」「業界のトレンドはどう変化しているか」といった生の情報に触れられるのは、学生にとって大きな刺激になっています。

企業連携の授業についても教えていただけますか?

加藤  IT企業と連携し、実社会の課題に向き合うワークショップや制作を展開します。来年度は、面白法人カヤックのアートディレクターによるワークショップも予定しています。実際のプロジェクトを想定した実務的な課題に加え、今の社会にはないサービスや未来のアイディア提案にも挑戦します。デザインが社会をどのように導いていけるのかを実体験として学び、卒業後すぐに活躍できる実践力へとつなげます。

4年次ではどのような学びになるのでしょうか?

加藤  4年次には、自身の研究テーマを設定し、これまでの学修成果をもとに作品制作に取り組みます。企業連携や実践的な制作経験を踏まえ、その集大成として卒業制作を完成させることで、主体的に情報技術を活用できる力を養います。単なる課題をこなすのではなく、自分自身の問題意識や興味関心から出発して、社会に問いかける作品をつくる。それが本学の卒業制作の特徴です。

就職実績や進路の広がりについてもお聞きしたいのですが。

加藤 ビジュアルコミュニケーションデザインコースでは、2年前より科目の一部を情報デザイン系カリキュラムへと刷新してきました。UI/UXデザイナーやウェブデザイナーなど、情報デザイン分野への就職実績は増加傾向にあります。専攻開設により、IT企業へのキャリア支援もさらに強化していく予定です。企業との繋がりも深めていますので、学生たちには多様な進路の選択肢を提示できると思います。

最後に、これから進路を考える高校生へメッセージをお願いします。

加藤 情報とデザインは、これからの社会に欠かせない分野です。本学では、表現と技術の両方を学びながら、自分なりの視点で社会と向き合う力を育てていきます。本学は今年で開学110周年を迎える伝統あるトキワ松学園の一員として、個性を尊重し、自由で伸びやかに学べる環境が整っています。私たちが目指しているのは、情報デザイン研究を通じて「社会を導く」創造的実践者の育成です。さまざまな情報を読み解き、多様な価値観と向き合いながら、自らの視点で未来をデザインする。その力を、横浜美術大学でともに育てていきましょう。

UI/UX デザイナー
猪鼻セカンドル貴正講師

情報デザイン専攻の開設に伴い、私が教壇に立つ上で大切にしたいこと
をお話しします。

現場の人間として教壇に立つからには、学生の皆さんにより実践的な思考を身につけてもらいたいですね。特にサービスデザインでは、表面的なユーザー理解では通用しません。深くユーザーを観察し、本質的な課題を見抜く力を鍛えていきたいと思います。

デザインは見た目の美しさだけでなく、使う人にとっての「わかりやすさ」「使いやすさ」が何より重要です。美しくわかりやすいUI/UX を作れるデザイナーに育ってほしい。そのために必要な視点や考え方を、実際の現場での経験を交えながらお伝えしていきます。

実際の現場で活きる力を、一緒に磨いていきましょう。