藝大生のアートな日々2024

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藝大生のアートな日々

東京は上野。美術館や動物園、博物館といった文化施設が並ぶ上野恩賜公園と隣り合わせの東京藝術大学。
木々や池もある自然豊かな空間は、東京の中心とは思えないほどゆっくりと時間が流れています。
そんな上野キャンパスで学ぶ藝大生にキャンパスライフをインタビューしてみました。

静かな刺激に満ちた毎日。
『作る楽しさ』 を大切に日々制作中。

絵画科 油画専攻 3年 T・Kさん
藝大に入ってみて感じたことは?

上には上がいるという事を実感しました。とても絵が上手な人や、 何かしらの受賞歴があったり、 音楽大学とダブルスクールをしたりしている人など……。
しかし、そんな同級生がいるおかげで、自分のやりたいことや作りたいもの、好きな事が明確になり、より自分の制作に集中するようになったのを今でも覚えています。

藝大の授業について教えてください

藝大では主に、午前中に行われる自身の専攻の授業や課題制作と、午後からの選択授業があります。油画専攻では1、2回生の時に課題制作が課せられ、2週間~1ヶ月のペースで課題作品を制作しています。3回生からは、自由制作がメインになり、作りたいものを作りつつ、それを講評に提出して授業の単位を取得します。午後の選択授業は、色々な学科や専攻の全校生向けの授業が開講されていて、自分の好きなように授業を選択して受けることができます。解剖学や美術史などのオーソドックスな授業から、ゲーム制作演習や哲学、心理学など座学、実技科目が幅広く開講されています。

制作において大切なことは?

大切なことは、「作っていて楽しいか」「その制作は今後も続けられるか」ができていることです。
結局作っていて楽しくなかったら、私は作品を作っている意味もあまりないと思いますし、何よりも制作が続かないと思います。そして続けることでオリジナリティも創られていきます。なので私は「作っていて楽しい」「今後も続けて制作できる」事を大切にして日々制作しています。自分にとってはこの2つさえクリアしていれば、何を作っても構わないと思っています。そしてスグではなくとも良い結果もついてくるはず。がんばろー

藝大のランチ事情を教えてください

生協や学食、値ははりますがお昼時に藝大にキッチンカーが来て、 各々お財布と相談しながらランチを取っています。また、上野駅まで歩けば一蘭などのお店や、根津方面を歩けば町中華など藝大外にも色々と選択肢があるので、自分の足でお気に入りのお店を探すのもOK!

今一番はまっていることは?

任天堂株式会社の岩田聡さん、宮本茂さんと、ほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里さんの対談記事などを熟読することです。就活をしているということもあるのですが、お三方のお話はとても面白い上に、ものを作るうえでの姿勢や考え方の参考に非常になるため、最近は電車のスキマ時間などに記事を読んでは、自分事に変換してぼーっと考えてみるということがマイブームです。

藝大のイベントで面白かったことは?

目覚ましいご活躍されている藝大の先輩方の藝大生限定の講演会などは、貴重な経験でとてもおもしろいなと思います。運が良ければ憧れの藝大OBに生で会えちゃったりします。めちゃ感動します!

2.5m×2mの絵画作品、巨大な絵が描けるのも大学の魅力です

大学ではレアなグループ制作

木口木版画で制作した課題作品、大学では油絵以外にもたくさんの技法、画材に触れられる環境やチャンスがあり、油絵以外で制作を続けている人もたくさんいます

海で拾った貝殻をスケッチしまくってた時の写真、意味よりやってみたい先行で全然 OK です

講評、撤収終了後の打ち上げ(上野駅の有名なラーメン屋さんにて)

油画専攻を目指すみなさんへ!

学校やバイトなどをしながらの制作は大変だとは思いますが、あまり思い詰めず、自分の良いところをしっかり磨けば、芸大合格は誰にも可能だと思っています。受験の時しかできない制作の楽しさを探してみてください!

都会とは思えない自然豊かな環境で最高の級友たちとじっくり制作。

絵画科 日本画専攻 3年 N・Rさん
藝大に入ってみて感じたことは?

まずみんな絵が上手いなぁと思いました。最初から上手い事が前提で入ってきた人達とこれから学生生活を過ごせるという事は、とても刺激的で貴重な体験だと思います。
藝大は人数も少ないので他の大学に比べて小さいですが、都会なのに自然豊かかつ静かなのでゆったりと制作したい人には良い環境だと思います。

藝大の授業について教えてください

藝大の授業は、日本画の場合ですが制作前の小下図研究会と研究会(講評のこと)以外は週に1、 2度教授が来る程度でそこまでみっちり指導が入るわけではありません。
ただひたすらに描いて学ぶ事がメインです。
自分で何をしたいのか何をすれば良いのかが分からないと辛い所もありますが、制作を続ける上でのメンタルを鍛えること、そして絵を極めるには最適な場所だと思います。

制作において大切なことは

しっかりと絵に向き合う事だと思います。私が絵に向き合う時に大切にしている事は、オンオフを切り替えることです。
絵を描く時は絵のことだけを考えて、どのような構図・色味で進めて行くのか考えながら完成のイメージを組み立てます。
岩絵具は乾くと色味が変わってしまうなど扱いが難しい絵の具なので、思ったように進まない事も多いですが、そんな特性も利用しつつその場のライブ感を大事にしながら制作しています。

藝大の好きな場所について教えてください

藝大で好きな場所は、大学附属美術館横の休憩スポットです。こじんまりとしたスペースですが、とても落ち着く場所なのでよく利用しています。

今一番はまっていることは?

写真を撮る事とスケッチです。新しい場所に行った時も普段からよく通る通りなども、スケッチや写真などで記録しておくと新鮮に見えてくる時があります。制作する時にも資料として使えるので普段から積極的に記録しています。

藝大のイベントで面白かったことは?

藝祭も楽しいですが、学部3年次で行く古美術研究旅行が一番楽しかったです。コロナ前は二週間でしたが、今は一週間奈良と京都に行ってお寺などを巡ります。夜ご飯などは自由なので好きに摂ることが出来ます。同級生との仲もより深まりました。

藝大のランチ事情を教えてください。

藝大には美校と音校にそれぞれ食堂があります。少し高いですがインドカレーやローストポーク丼、デザートにはジェラート屋さんなど日替わりでキッチンカーが来ます。とても美味しいのでおすすめです。音校には生協もあるのでさっと食べたい時には生協で買う時もあります。

それぞれのペースでじっくり制作

教室全体の風景。模写の課題をしています。四年次になると部屋が分けられ、少人数での制作となります

藝大のある上野公園は木々が豊かで、写真のような雪の日も制作のヒントになりそうな美しい景色がみられます

古美術研究旅行では沢山のお寺や仏像を見て回ります。普段は入れないような場所にも入る事が出来ます!

日本画専攻を目指すみなさんへ!

描写力や全体感も大切ですが、一枚の絵として魅力的かどうかを考えてみましょう。
どこに感動し、どこに美しさを感じたのか。入試は大変ですが、必ず得られるものがあります。応援しています。

つくった先にいる人を意識すること。そのためにも大切な友人との時間。

デザイン科 デザイン専攻 3年 S・Sさん
藝大に入って感じたことは?

やはり美術大学の最高峰なので、さまざまな分野に特化した人達を間近で感じることが出来ます。
また、周りの友達も変わった人が多く自分のことを精一杯に頑張っている人ばかりなので、一緒にいてとても愉快ですし切磋琢磨することができると感じました。

藝大の授業について教えてください

制作について詳しく教えてくれる授業というよりかは、自分で素材や表現を試行錯誤しとにかく手を動かさせる授業だと思います。自分でやりたいことや信念を明確に持つことで教授の意見をより聞くことができると思います。

制作において大切なことは?

まずはつくった先にいる人を意識することを大切にしています。つくった作品を、人がどう使い何を感じることができるのか、ということを常に意識しています。

藝大の好きな場所について教えてください

立体工房が1番好きな場所です。立体工房というのはデザイン科の生徒が共通で使える立体作品をつくる機械室なのですが、
その立体工房の先生方が作り方が分からない所も一緒に考えてくれるので、とても心強いです。

3年生課題「今を楽しむ」。大学の取手校地にある木材造形工房での寄せ木制作

今一番はまっていることは?

ドライブの旅行にハマっています。特に自然がある場所に行くといつもの生活では感じられない刺激を受けられるので、長期休みになると必ず行きます。あとは課題のストレス解消で猫と戯れるのが1番の至福です。

藝大のイベントで面白かったことは?

間違いなく古美術研究旅行です。藝大生しか入れない京都や奈良の歴史的な建築物の中に入り日本の文化を深く学ぶことができるのがすごく良い経験でした。それから、仲のいい友達と1週間ずーーっと夜も一緒に行動できたので本当に楽しかったです!!

藝大のランチ事情を教えてください

藝大には毎日に日替わりでキッチンカーがくるのでそれを楽しみに食べたり、音校の学食も美味しく食べたりしてます。

大学の美術学部と音楽学部を繋ぐ信号。
美術学部の学生も昼食の際に音楽学部の食堂に行くことも

1年生課題「マテリアル」を大学のアトリエで制作中

2年生課題「くらす」の制作中。大学の取手校地にある金工機械室で金属の溶接をしました

古美術研究旅行。藝大生しか入れない場所で貴重な歴史ある文化を体験できます

ハロウィンの際に友人達とディズニーのコスプレをして、大学で写真撮影!

デザイン専攻を目指すみなさんへ!

藝大は入って後悔することは個人的にはひとつもない素晴らしい大学です。
ここでしか出来ない貴重な経験もたくさんあるので、最後まで諦めずにぜひ走り切って欲しいです!応援しています!

ハイレベルの制作環境の中で試したいことも存分にできる魅力。

工芸科 工芸専攻 1年 O・Sさん
藝大に入って感じたことは?

藝大に入って感じたことは、周りの人のレベルの高さです。
自分がこれまで高校や予備校で制作していた環境よりもはるかに高い技術をもっている人がたくさんいてのんびりしていられないなと感じました。

藝大の授業について教えてください

前期では工芸に使う金属や漆、粘土の素材に触れて実材実習という授業があります。後期では、工芸から離れて彫刻や日本画などの授業も行います。

制作において大切なことは?

制作においては計画が大切だと考えています。
物の作り始めから完成までにあらゆる工程がありますが、後先のことを考えずに手を動かすとどこかで詰まってしまいます。
完成を見据えてそれまでにどのような仕事を重ねていけばより自分の表現したかったことに近づけるのかを考えるのが大切だと思います。

藝大の好きな場所について教えてください

中央棟正面の木々が生えた道です。木漏れ日がとてもきれいで、制作のヒントにすることもあります。
他にも木漏れ日がきれいな場所がたくさんあり、自然が好きな私はよく写真を撮っています。

今一番はまっていることは?

風景画を描くことです。大学に入ったときは工芸だけを専攻していくものかと思っていましたが、他の専攻の先生などの話や展覧会を見ている内に風景画にはまりました。自分がこれまで興味のなかった分野にも気軽に手を出せるのは藝大の魅力だと感じます。

藝大のイベントで面白かったことは

藝祭です。一年生はみんなで大きな神輿を一ヶ月かけて制作しますが大作を作るのはとても大変で、色んな人との考え方の違いもあり、完成までギリギリの日々でした。しかし、藝祭本番は作った神輿を多くの人に見てもらえて本当にいい思い出になりました。

藝大のランチ事情を教えてください

藝大には美校と音校の2つの食堂があります。どちらにもそれぞれの良さがありますが、私は音校の食堂が好きです。生協で買って食べる学生もたくさんいます。

藝大の食堂。入り口はこんな感じです

ガラスを用いた作品制作中の写真

授業課題作品の展示

最近はまっている風景画。専攻以外にも様々な取り組みができます

工芸専攻を目指すみなさんへ!

受験であっても制作を楽しむことが大切です。自分の好きな作品を作ろう!という意識で肩の力を抜いてみましょう。受験で培うデッサン力や技術は大学での制作に直結します。自分の未来の作品を想像しながら妥協せず、最後まであきらめず頑張ってください。