2025藝大生のアートな日々 デザイン・工芸・油

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藝大生のアートな日々

東京は上野。美術館や動物園、博物館といった文化施設が並ぶ上野恩賜公園と隣り合わせの東京藝術大学。
木々や池もある自然豊かな空間は、東京の中心とは思えないほどゆっくりと時間が流れています。
そんな上野キャンパスで学ぶ藝大生にキャンパスライフをインタビューしてみました。

自分のアイデンティティを見つめ直し、視野を大きく広げられる場。

絵画科 油画専攻 2年 T ・Rさん
藝大に入ってみて感じたことは?

今までの自分のアイデンティティが絵を描けることだったのに対して、芸大に入るとそれが「普通」になるので絵を描ける以外の強みを自分の中に見出さないといけないなと感じました。だからこそお互いに高め合える部分があって楽しいです。

絵画棟のスペースに作った円
藝大の授業について教えてください

選択科目は何を受けてもハズレはないです。全部面白い授業ばかりで、美術館などの学芸員の方や作家の方など他では聞けない話が沢山聴けて面白いです。一方必修には誰かが何かを教えてくれるという授業はほとんど無いです。自分で考えて自分の内にあるものをどう表現するのかに重きを置いている気がします。講評も担当教諭は周ってくれますが、その他の先生は自分で呼んできて講評してもらう形なので積極性も鍛えられます!最近は版画の授業が必修になっているので新しい発見があって面白いです。

制作において大切なことは?

普段は周りをよく見つつ、制作を始めたら周りは見ないことです!なんでも自分の制作に活かせると思って全てを見て、全てを疑問に思い、常に頭を動かしましょう。みんな「こんな作品を作りたい」というものはあるのに、周りの人や講評で何か言われるのが怖くてやらないことが沢山あると思うので制作中は周りを見ないでいきましょう。

藝大の好きな場所を教えてください

芸大美術館です。開いてないこともありますが展示の期間は無料で出入りできるので空きコマなどの時間の暇つぶしに最適ですし、館内の雰囲気もとても素敵で落ち着きます。

今一番はまっていることは?

散歩です。元々カメラで写真を撮るのが好きで思考が混乱したときなどの息抜きに歩いていましたが、写真に関しての講義を受けて更に写真を撮る意欲が生まれて来て、それに伴い散歩も増えています。

藝大のイベントで面白かったことは?

なんといっても藝祭だと思います。一大学の学祭とは思えないほどの来客数なので、いるだけでも気持ちが高まりますが、今年度の藝祭ではアートマーケットに参加したので、色々な人と交流することができて更に楽しめました。

藝大のランチ事情を教えてください。

僕は基本ワンコインの学食を食べているのですが、キッチンカーのタコライスがものすごく美味しいです。日によって違うキッチンカーが来てくれますが、どれも毎日沢山の学生が並んでいます。

かまどを作ってカレーを作ってみました!
藝祭の神輿試作中。やっぱり藝祭は最高です!!

技法材料の講義でテンペラメディウムを作っているところ
藝祭中のアートマーケットで売った物たち
時には自宅に作品を持ち帰って制作します。
版画の講義で初めてのガリ板!鮭!

油画専攻を目指すみなさんへ!

まず、自分に自信を持つこと。同時に、人の話を聞くこと。講評はしっかり聞いて咀嚼し、更に良い作品を作ってください。自分の核をきちんと持って、作品に対して話せるボキャブラリーと自信があれば確実に受かります。応援してます!

自由だからこそ意思をしっかり持ち、感性と経験を広げていきたい。

デザイン科 デザイン専攻 3年 I ・Kさん
藝大に入って感じたことは?

ものすごく自由な場所だと感じました。どこで、なにを制作するか、授業の数、今日は何をするのか。自分でしっかり意思を持って行動できるかが4年間の肝になるなと思いました。

藝大の授業について教えてください

デザイン科は一ヶ月に1回程度のペースで課題が出ます。それ以外にも一年の時は塑像を行ったり、製本を行ったり、技法の授業と課題を並行して行っていく形です。一年以降も色々な先生が外部から来てくださって授業をしてくれたりします。いわゆるデザインという分野以外にも様々な人達に近い距離で話を聞けるのが魅力だと思います。

制作において大切なことは?

手を動かしながら考えることだと思います。どうしても大学に入ると作るものの幅が増えるので、どう手をつけていいのかわからず紙の上で悩んでしまいがちでした。受験の時のように一旦素材と向き合いながら、体を動かしながら進むのが結局近道だと実感しました。

藝大の好きな場所について教えてください

総合工房棟のウッドデッキです。夕日がよく見えて綺麗で、2年生の時はよくここでお昼ご飯を食べていました。

夕日が綺麗なウッドデッキ
今一番はまっていることは?

総合工房棟のウッドデッキです。夕日がよく見えて綺麗で、2年生の時はよくここでお昼ご飯を食べていました。

藝大のイベントで面白かったことは?

芸祭のアートマーケットです。毎年出店しているのですが、買っていただけたらものすごくうれしいし、そうでなくても自分の作ったものに近い距離感で感想をもらえたりしてとっても楽しい機会です。毎年何を作ろうか考えて芸祭までは過ごしています!

藝祭の時の集合写真。作った法被(右ページ下)をみんな着ています
藝大のランチ事情を教えてください

キッチンカーがとても美味しいです。特に毎週水曜日のカレー屋さんはチキンカレーが絶品です。

グループ課題の様子。ダンボールハウスを作り、その中でストップモーションアニメーションを制作しました

一年の最初に一泊二日で福島研修へ。みんなで福島で赤べこを作ります
一年生は芸祭で神輿と法被を制作。写真は法被のシルクスクリーンの版をみんなで手書きで書いています
3 年では奈良京都に古美術研究旅行へ行きます。10 日間かけて一般でははいれなような自社仏閣の裏側までガイドさん付きで見ることができます
取手の校舎ではより専門的に素材を触ることができます。敷地内をヤギが歩いています

デザイン専攻を目指すみなさんへ!

私たちの周りにある全てのものが何かのために作られ、デザインされたものです。それらのものを注意深く観察しましょう。作品作りで迷った時にも、それが大きなヒントになります。頑張ってください!

藝大には入って終わりではなく、さらに高みを目指す楽しさがある。

工芸科 工芸専攻 3年 U ・Wさん
藝大に入って感じたことは?

藝大に受かるという高い山の頂点にやっと登れた!と思って周りを見渡したらもっと高い別の山があった、そんな感じでした。

藝大の授業について教えてください

最初は選択授業の単位余裕じゃん!とか思ってました。全然そんなことなくて制作が間に合わない。制作で手いっぱいです。ちゃんと計画的にやることを決めて動かないとあれ?終わらないぞ?となったりします。授業取りすぎ危険! ちなみに授業自体は色々なものがあって、私が好きな授業形態は外部の特別講師を呼んで講演をしていただくというものです。宇宙や舞台音響など本当に色んな方がいらっしゃいます。そこから新しい発想が生まれたりして沢山刺激を受けることができます。

制作において大切なことは?

色々なことを試してみる!遠回りが意外と近道だったりします。頭では分かっているのですがこれが私にはなかなか難しいことです。

藝大の好きな場所について教えてください

藝大の森です!藝大の森お世話隊という活動に参加しており、その活動グループに入ると合法的に入れる森です!本来は風などの影響で枝が降ってくる可能性がある為立ち入り禁止になっています。御神木の如く大きい在来種の木々が沢山生えている精神的な空間です。藝大に入ったら是非この活動に参加することをお勧めします。

今一番はまっていることは?

陶器に絵付けをすることにハマっています。正直大学受験目指してから自分の描くセンスに悉く失望してきたところがあるのですが、絵付けの質感を自分好みにして絵を描いてみたらどんどん絵が描きたくなってきて今では絵付けをした作品がどんどん増えてきました。

藝大のイベントで面白かったことは

なんといっても藝祭です!一年生が毎年制作する神輿が面白いのはもちろん、その神輿を担ぐ先に先導するサンバ部の騒がしさが好きです。毎年藝祭でサンバをするのが本当に楽しい。藝大サンバ部は楽器メインなので派手な格好などはしないです。ただ、音が派手です。それが楽しい! 工芸科は藝祭でアートマーケットで無双できます。日頃の作品制作の見せ場でもあります。藝祭に来たこと無い方は一度来てみると良いかもしれません!

藝祭でのサンバ部の様子、コロナ禍を経て年々増えている部員
藝大のランチ事情を教えてください

学生で金欠だと少しきついです。最近できた音校の食堂は比較的安くて良いかも知れません。ただ制作の最中で音校まで行くのが面倒なので身近なもので済ませてしまいます。

専攻の陶芸以外でもアポを取れば使用できます
2 年に1 回の藝大取手校舎の登り窯実習の様子

絵付けはこんな感じで陶器に描けます
二年生はじめの古美術研究旅行。この日々が勉強になるのはもちろんだが、とても楽しい
自分で作った器で食事をすることもまた勉強

工芸専攻を目指すみなさんへ!

自分の“こんな作品・世界観作りたい!” が作れること、様々な素材が身近にあること、相談できるそれぞれの技法の教授が身近にいて、絵も描けるし立体作品も作れる。作ることが大好きな人にはもってこいの科です!温故知新の工芸科、是非是非お勧めです!